世界の美食の首都パリに学ぶ。「割り切り」と「偏愛」を両立させる日常
- 西原咲

- 6 日前
- 読了時間: 4分
ボンジュール!パリ在住、ファイン総研の西原咲です。
世界中から一流のシェフ(を目指す熱意ある若いシェフ)や
高感度な美食家が集まり、常に新しい食のトレンドが生まれ続ける街、パリ。
名実ともに「世界の飲食の首都」であるこの街の強さは、
フランス料理を発展させた宮廷料理の歴史的バックグラウンドや
街にトレンディなレストランが立ち並んでいるからだけではありません。
その圧倒的なバックボーンにあるのは、
フランスがヨーロッパ最大の「農業大国」(食料自給率120%)であるという事実です。
食に対する確固たるプライドとインフラが国全体に根づいているからこそ、
パリは世界を牽引する美食の聖地であり続けられるのです。
とあるカフェで聞いた話では、
従業員の賄いさえも毎日契約農家から直送される食材をふんだんに使って、
シェフが1時間かけて用意しているとのこと。

また、とあるミシュランレストランの
厨房を見せていただいた際、ちょうど
ランチとディナーの間の休憩時で、
彩り鮮やかでとても美味しそうな賄い
(と、営業中ですがビール)が並んで
いました。
ミシュランレストランの厨房は
厳しい環境だと思いますが、
長年世界中のシェフがパリを夢見る
理由の一つは、こうしたバランスや
生き生きとした環境にあるような
気がしています。
しかし、そんな「美食の国」の首都パリですが、
華やかな観光の側面を離れ、住人のリアルな日常の食卓を覗いてみると、
タフでスマートな「二面性」のカルチャーが出迎えてくれます。
欧州では男女の役割分担という概念がフラットで、完全な共働き社会が前提です。
そのため、平日の料理に過度な時間やエネルギーを割くことはしません。
ここで主役になるのが、パリの街のあちこちにある Picard(ピカール)に代表される
「冷凍食品」やデリの賢い活用です。
仕事の後は割り切ってスマートに効率よく食事を済ませる。
「帰路のテラス席で友人と1杯アペロして、21時頃から家でディナー」
これがパリジャンの日常です。

しかし、彼らは決して食を軽視しているわけではありません。
手抜き(=効率化)をする一方で、
口にするものの安全性やサステナビリティに対する意識は高く、
街のスーパーや市場では「BIO(無農薬・オーガニック)」の商品が人気を誇り、
フランス人の標準的な選択肢となっています。
そして、この数十年カルト的な人気を誇るナチュラルワインのように、
食をはじめとするライフスタイルは「個人の思想の表明」であり
「ファッションの一部」なのです。
クラシックな高級ワインのように格式や格付けで語るのではなく、
ブドウ本来の力を生かした不均一な味わい、生産者のリアルなストーリー、
そしてラベルのグラフィックデザインを、
まるでインディーズの音楽やアートをディグるように楽しむ。
世界の飲食の中心地であるパリの食卓には、
「徹底的な合理主義(割り切り)」と「狂信的なストーリーへの投資(偏愛)」を
両立させるバランス感覚があります。
「普段の調理は徹底的に合理化するが、素材の思想やクオリティには一切妥協しない」。
これは、一般的な日本の感覚とは異なると感じています。
平日の夜は冷凍食品で軽やかに済ませ、
週末は大切な人たちとストーリーの詰まったナチュラルワインを語り合う。
そんなパリジャンのしなやかな暮らしのグラデーションに、
私たちが日常やビジネスをもっと楽しむヒントがありそうです。
パリのエネルギッシュで自由な食卓から、皆様の挑戦を全力で応援しています!

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