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自分の言葉で、世界を語る。

  • 執筆者の写真: 西原咲
    西原咲
  • 8月15日
  • 読了時間: 4分

フランスの「読書・哲学カルチャー」に学ぶ

「自分の意見」を持つためのインプット



前回はフランスのバカンスカルチャーについてお話ししましたが、

今回はそんなスマホの電源をオフにするバカンスのお供「本」についてお話しします。

私が住んでいるパリから周辺の都市や国を訪れる際、一番安い交通機関は、

長距離バスです。

便によっては、飛行機や高速列車の100分の1の値段なんてこともあります。


そんな長距離バスで必ず見かける光景が読書をしている人(と、ノートに書き物を

している人と、もちろんスマホで動画を見ている人も)です。


また、パリの街を歩いていて驚かされるのは、メガネ屋とパン屋と「独立系書店」の

多さです。


ネット通販が主流の現代において、パリ市内だけでなんと約400店舗、フランス全土では

約3,500店舗もの本屋が今なお営業しています。


ちなみに私の好きなパリの本屋は、シェークスピアアンドカンパニーという、

1919年創業の英語の本のみを扱う本屋で、本好きの間で聖地化しており毎日行列です。


シェイクスピアアンドカンパニー外観と、パリ市の給水所(ウォーターサーバー)
シェイクスピアアンドカンパニー外観と、パリ市の給水所(ウォーターサーバー)

        (右側に写っている渋い緑の物体は、市民誰もが綺麗な水を飲めるようにと

         パリ市に400箇所ほど設置されている水道?ウォーターサーバー?です。) 


開店当初は、アーネスト・ヘミングウェイ、F・スコット・フィッツジェラルド、

エズラ・パウンドといった、当時パリに住んでいた今となっては超レジェンド作家たちの

溜まり場だったそうです。

ヘミングウェイの回顧録にも、この本屋が登場するそうです。


第二次世界大戦中、ドイツ軍の占領下にて、ナチス将校への本の販売を拒否したことなどをきっかけに、閉店を余儀なくされました。


1951年にアメリカ人が再度オープンしてからは、若き作家や旅人たちを無料で店内に

泊める「独自の居候システム」があります。

これまでに3万人が本棚の隙間の簡易ベットに滞在する代わりに、書店で働き、自叙伝の

寄贈を行なったそうです。


下の写真は、シェークスピアアンドカンパニーのオリジナル巾着に店員がセレクトした

古本が入った福袋を購入した際のものです。


シェークスピアアンドカンパニー オリジナル 古本の福袋
シェークスピアアンドカンパニー オリジナル 古本の福袋

また、パリに本屋が多い理由の1つとして、

フランスには大手サイトによる本の過度な値引きや送料無料化を規制する法律が

あり、国を挙げて「街の小さな知性の

拠点」を徹底的に守っているからです。


これに比例するように、人々の読書熱も

凄まじいものがあります。


フランス国立書籍センター(CNL)の

調査によると、フランス人の約88%が

「自分は読書家である」と答え、

92%が過去1年間に最低1冊は本を読んだ

回答しています。


さらに面白いのは、駅のキオスクや

スーパーのレジ横にあるペーパーバックの棚に、小説と並んで当たり前のように

「哲学書」が並んでいることです。



なぜ、これほど哲学が日常に溶け込んでいるのか。

その理由は、彼らが10代の最後に受ける大学入学資格試験 Baccalauréat(バカロレア)の仕組みにあります。


試験の初日には、文系理系を問わず、すべての学生が必ず Philosophie(哲学)の試験に

臨みます。


「自由とは何か」「芸術は役に立つか」といった正解のない問いに対し、4時間かけて

自らの頭で考え、論文を書き上げる。


この強烈な経験を若くして通過しているからこそ、彼らは大人になっても本を読み、

社会や人生を哲学的に考察し続けるのかもしれません。


そして、その知性を誰もが平等にチャージできる、息をのむほど美しい空間がパリには

用意されています。

それが、数年前に12年もの歳月をかけた大改修を経て全面再オープンしたフランス国立

中央図書館(BnF)のリシュリュー館です。


宮殿であった建物ならではのシャンデリアが目立つ、リシュリュー館のロビー
宮殿であった建物ならではのシャンデリアが目立つ、リシュリュー館のロビー

かつて宮殿だった歴史的建造物のため、見上げるような大空間でありながら、

なんと「誰でも・無料で」ふらっと入って席に座り、数万冊の書籍を手に取ることが

できます。


モダンな図書館に改装された大広間
モダンな図書館に改装された大広間

綺麗なカフェやギフトショップも

併設されているので、友人との

待ち合わせやパリ中心部での

買い物の後の休憩にも便利です。


「フランス人はお喋り」とよく言われ

ます。

「自分の意見」を持って堂々と語れる

一因は、まさにこの日常に当たり前に

溶け込んでいる読書というインプット

でしょう。


効率や正解ばかりを求められる現代の

ビジネス環境。だからこそあえて、

一見「すぐには仕事の役に立たない」

正解のない哲学書を開いてみる。

(もしくは、私の祖父である山口明男の

 ブログで紹介した本をどれか読まれて

 みてはいかがでしょうか!)




自分の内側と対話する「脳と心のバカンス」をぜひ皆様のスケジュールに組み込んで

みませんか。

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