フランスで特許出願の前段階「タイムスタンプ」を押す! インスピレーションをくれたヨーロッパ遺産day

こんにちは、ファイン総研の西原です。
今回は私がフランスにいる理由の1つにもなっている「製本」関連のことで、
これまで自分の中でバラバラとしていた考えがまとまり、
最初のステップを踏んだご報告です。
特許出願に先立ち、
まずはフランスにてアイデアの「タイムスタンプ(存在証明)」を取得しました。
タイムスタンプとは、フランス特許庁(INPI)が提供する
「e-Soleau」と呼ばれる電子認証システムです。
「まだ特許として公開する前段階だが、
この日時に自分たちがこのアイデアや技術を確実に所有していた」という事実を
公的に証明するもので、特許出願へ進めるための大切なプロセスです。
アイデアを形にする際、
国によってどのような存在証明・防衛アプローチが存在するのか、制度の比較
● フランス(e-Soleau): フランスでは公的機関が直接タイムスタンプを
提供しており、安価で割とスピーディ。営業秘密の保護や事前防衛に強力。
● 日本: 民間の認定タイムスタンプや公証役場の確定日付を活用することで、
将来的に「他社が類似特許を取得した場合でも、自社が先に開発していた」ことを
証明する「先使用権」を確保する実務が一般的のよう。
● アメリカ: 単なるタイムスタンプではなく、
クレーム(特許請求の範囲)を排した「仮出願」を行うことで、
直接的に特許の「優先日」を押さえるカルチャーが根付いているよう。
ほとんどの国において、外部パートナーとの共創や試作段階において、
「特許権の取得(独占権)」とは別に「存在日付の確定(防御策)」を
先行させることが極めて重要な知財戦略となっているようです。
そもそも私がフランスで、手製本(Reliure)の文化への理解を深めている
理由の根底には、ヨーロッパが培ってきた「本」という存在に対する
敬意と歴史があります。
9月中旬の週末開催された
「ヨーロッパ遺産Day(Journées Européennes du Patrimoine)」では、
歴史的図書館や普段は立ち入れない文書館も訪れて、
その原点を肌で感じることができました。

歴史的図書館で目にしたのは、
かつて「城が一基建つほどの財」を注ぎ込んで仕立てられた宝飾製本や
羊皮紙を用いた写本の数々です。
立体的な金の装飾、宝石が埋め込まれた表紙などの宗教と深く結びつき、
神の言葉や知性を現世に留めるために当時の最高の職人技と巨額の富が
本一冊に集約されていた時代の凄みに圧倒されました。

また、パリ市立古文書館では、
市民の出生/学校への入学/企業の登記/死亡といった「大量の記録」にも
触れる機会がありました。
数百年も前の紙が、人々の営みが筆跡や紙の質感を介して現代の私たちに伝わってくる
体験は、「媒体としての本・紙」という一面を再認識させてくれました。
同時に、紙の原料である木材パルプに含まれる「酸」の影響で
修復が不可能/電子データ化が進んでいるとはいえ追いつきそうもない本や書類が
世界中にたくさん眠っていることについても考えさせられています。
今回タイムスタンプを押したプロジェクトのことや、
製本・製紙のこと、そのうち良いご報告ができるように精進して参ります!
もっとフランス(パリ)を知りたい! と思ったら……
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